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かつてネット小説書いてた人のリハビリ場所
義理の母は16歳☆番外編3スピンオフSS
「覚醒! 桜井大志」


 中央高校サッカー部一年、ポジションはフォワード。
 背番号は18、桜井大志(さくらい たいし)。
 入れ替わりで卒業した姉――野球部の鬼マネージャーと呼ばれていた「桜井伊吹(さくらい いぶき)」の弟である。



 中学までは野球一筋、だけどもっぱら補欠。まぁ、姉にやらされてたというところもあり、さほど興味がある方でもなかったけど、そこそこ好きなスポーツではあったと思う。
 なんて偉そうなこと言えるほど試合に出たこともないけど。
 サッカーは高校に入ってから始めた。きっかけは、家庭教師をしてくれた姉の後輩……サッカー部に所属していた東方天空(とうぼう そら)さんの影響である。
 近所に住むお兄さんであり姉の同級生でもある――青木創(あおき そう)くんも、サッカー部でゴールキーパーをしていた。文化祭での催し物で「キーパー危機一髪」とかいうゴールにボールを叩き込んだらサッカー部員が願い事を聞くだかどうだかというイベントで、あっさり創くんのゴールを割ってしまったり、というのも一応理由にある。
 決してサッカーチョロいとか思ったわけではない。でもちょっと思った。
 野球と違って、試合時間中ずっと動きっぱなしのサッカーに興味を持った。これならきっと、ぼんやりする時間もない。
 勉強よりは運動が好き。そんな単純構造。

 今日も寝起きから足に2キロずつ、手首にも2キロずつ、合計8キロのウェイトを巻くことから始まる。
 相変わらず身長の伸びが悪く、成長期に突入すると見込んで買った大きめの制服をダボつかせ、まぁウェイト隠せてちょうどいい。自転車のペダルを漕いで漕いで、三十分弱で到着するのが、県立中央高校。
 駅近住宅街にポツンと建つこの学校、ギリギリ全国大会に出れる野球部とサッカー部がありながらグラウンドがさほど広くなく、練習がまともにできないせいでいがみあいがあったとかなんとかだけど、ここ数年でずいぶん落ち着いたんだとか。


 まだまだシロートの域なのに、初試合は意外と早くやってきた。
 なんと、総体出場を決めるような試合に出されたのだ。
 対戦相手は若月学園高等学校。部活動にめちゃくちゃ力を入れてる学校で、設備がとにかくすごい!
 滑り止めで受験した学校だから行ったことあるけど、外から見るだけでもすごいところだった。
 なにやら部員数もすごいらしく、一度も試合に出れずに高校生活を終える人もいるとか。なんとも厳しい世界……。
 僕はあっさり試合に出してもらえて、今後ずっとベンチ入りさえできないまま卒業を迎えることになっても、もう十分ではないかと思う。


 試合開始ギリギリで、手足のウエイトをビリビリと外す。8キロの呪縛から解き放たっれ、軽くなる身体。素早さ30%アップ。
 どうも相手ベンチから視線を感じるなって思うには思ったけど、あの学校に行った同級生が試合に出てるとは思えないし――たくさんの部員が応援のために並んでいる観客席からなら分かるんだけど。だいたい、高校に入ってサッカーを始めた僕にサッカー関連の知り合いがいるわけがない。
 気にはなるけど……今はこれから始まる試合に集中しないと!

 今日は調子がいい。ボールを奪いに来る相手校の選手をばんばん抜いて、ゴール目前!
 初ゴールもらったぁ!
 確信した瞬間、ボールが奪われ、遠くに蹴り戻された。
 僕を止めるやつがいるなんて!
 調子が良すぎたせいで、止められたことに腹が立つ。
 若月学園、背番号8……3年生かな、と思った。でもそんなに体格は良くないどころか、僕よりちょっと身長が高い程度。
 彼がこちらを向いて、ニヤリと笑う。見覚えのある、誰かに似た面影だった。

「久しぶりだね、大志くん」

 記憶にある彼より低い声で、間違いなく僕の名を呼ばれたことで、確信に変わった。
 突然いなくなって以来、連絡もくれず、どこにいるのかさえ分からなくなっていた幼馴染み――

「まさか……蓮くん!?」

 近所に住んでいた同級生。創くんの弟、青木蓮(あおき れん)。

「根っからの野球少年だと思ってたから、こんなところで再会できるなんて驚きだよ」
「あれは、姉の押しつけだよ!」

 まだ試合中だ。のんびり立ち話をしているわけにはいかないので、ボールを追って駆ける。

「そうだな、子供の頃もオレたちはサッカーして遊びたかったのに、お前の姉の威圧は殺人級だった」
「今でも健在だよ、その威圧」
「ハハッ、思い出したくないな」
「創くんも、サッカーやってたんだよ」
「……知ってる、テレビで見たから。すげーな、国立って。オレも中学から若月でサッカーやってたけど、歳の離れ具合から試合で一緒になることは叶わなかったけど……大志に会えて嬉しいぜ!」
「どっちが先に武道館に行けるか、競争だね!」
「望むところだ!!」

 僕たちはボールを奪い合いながら、再会を喜んだ。
 外野席のチアと応援団。
 吹奏楽部のアメリカンシンフォニー。
 同点で迎えた9回の裏、ツーアウト満塁という状況でバッターボックスは僕。
 今日はいける!
 自信は確信へ――!!

 人生初めての、試合で満塁ホームラン!!






「――って夢を授業中に見たのだ」

 珍しくはっきりと覚えていた夢のことを、ちょっと盛りつつ話し終えたところで……聞き手の天空さん、お姉ちゃん、創くんが呆れた表情でため息をついた。

「サッカーの話じゃなかった? 途中から野球になってなかった?」
「アメリカンシンフォニーじゃなくて、アフリカンシンフォニーだから!」
「……もう帰っていい?」

 と、創くんが立ち上がる。

「でも、もしかしたら蓮くん、若月に……」
「夢の話でしょ? 連絡先もわかんないし確認のしようもないし……そもそも探してない」

 とは口で言ってても、少し悲しげな表情だった。まぁ確かにそうではあるのだけど……。
 何も言えなくなってしまい、帰っていく創くんを見送ることしかできなかった。
 天空さんとお姉ちゃんは――

 ガン☆

 頭を押さえつけられてテーブルに額をぶつけた。

「つまんない夢の話ごときであたしを呼び出さないでくれる? そんなにヒマじゃないんだけどぉぉぉぉおお?」

 姉、かなりお怒りで、

「まぁまぁ伊吹、大志くんだからそんなもんだよ」

 と、なんかフォローにならないフォローをしてくれる天空さん。

「しかも授業中に居眠りとかどういうこと? 授業料払ってんだから、授業ぐらいちゃんと聞けよ! だから成績がいつもいつも!! 高校は義務教育じゃないから、できないやつは留年するんだよ! そもそも、なんでそんな成績のくせに中央受けて受かってるんだよ、八百長か?」

 もう暴れる寸前なので、天空さんが羽交い絞めにしているレベル。まっとうなことを言われてるのはわかるけど、ねぇ、仕方ないよ、僕こういうタイプだから。




 そして、僕が二年生になった頃、とある試合の若月学園メンバーに「青木蓮」の名前があり、あのとき夢の話をした三人はたいそう驚いていた。

「まさかホントに……!?」
「学校まではあってたわね。しかし、偉いわあの子。あたしとの約束忘れてなかったのね」
「……まだ野球やってたのか。俺には悪夢とかトラウマでしかないのに」
「何か言った?」
「……いやなんも」

 蓮くんは、まだ野球をやっていて、若月学園ナインとして、活躍中だ!
 僕も野球部だったら、もしかしたら試合で対戦できたかもね。


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創作屋(リハビリ中)
趣味:
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自己紹介:
元々はヘンタイ一次創作野郎です。
絵とか文章とか書きます。
二次もどっぷりはまってしまったときにはやらかします。
なので、(自称)ハイブリッド創作野郎なのです。
しかし近年、スマホMMOにドップリしてしまって創作意欲が湧きません。
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