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かつてネット小説書いてた人のリハビリ場所
ありがとうXP。

ということで、いつ書いたかわかんないけど、ふとまた続き書きたいなと思って探してきた文章の1話を晒し首。

どれか1本に絞ってやらないとどれも中途半端になることはわかってるんだけど、それでなくても1本放置(リンダ)、1本始めて(義ママ番外)、1本探してきた(コレ)という状態。

それは置いといて、コレの説明。
CLリメイクがどうのこうのでぽっと出てきたやつ。
着地点が決まってない。
よくあるとりあえず書き始めた系のやつ。
なので2話途中で放置でした。

だけどこれも加筆してサイトに上げれるようにしたいな、と思ってとりあえず、そのままの状態で出しときます。






Re:Action(タイトル仮名)


  1:Really


 ある平日の放課後。ひとりで駅通りを歩いていたら、制服を着崩した高校生の男子三人に行く手を阻まれた。

(うわぁ、同じ学校の人だ。先輩かなぁ)

「お、かわいいね。ひとり?」

 またナンパだろうか。
 よくあることなので、いつものように走って逃げる、つもりが三人の中のひとりが素早く手を掴んできた。

「逃げないで、少し話ししようよ」

 ニヤニヤと、嫌な笑みを浮かべてる。
 この人たちの脳内は一体どうなってるんだろう。全く理解できない。

 何とかお断りして帰りたいところだけど、手は離してくれないし、話しは終わらない。
 ホントにどうしたらいいか分からなくて泣きそうなところに、救いの手が差し延べられた。


「ひとりの女子にたかって何やってんの?」

 ジャージ姿で長身。外ハネの短めの髪。捲ってる袖から伸びる手は……ギプス? しかも両手!
 それが強烈なインパクトを残した。

 ――いるんだ、両手骨折する人。

「げ、アオイ!」
「行こうぜ」

 三人は足早に立ち去り、助けてくれた両手骨折さんだけになる。そうだ、お礼!

「あ、ありがとうございます」
「別にいいよ、何か困ってそうだったから声掛けただけだし。でもあいつら……」
「マナカ!」

 骨折さんがまだ何か言おうとしてるのに、誰かに遮られた。
 こちらに駆けてくるひとりの女子高生……さっきの男子三人と同じ学校の制服。でもかなり大人びた感じの綺麗な人、ということは自分にとって先輩であろう。骨折さんの彼女さんだろうか?

「どうしたの、急に」
「いや、少々人助けを……」

 と、視線を向けてくる彼女さんらしき人は睨むようにこちらを向く。
 そうですよね、イヤですよね、彼氏が見ず知らずの女を突然勝手に助けたりしたら、気分わるいですよね。ヤキモチって言うんですよ、それ。でも安心してください、そういうつもりはないですから!
 すぐに視線を外し、先ほどの男子高校生三人が走り去った方を見ている。

「よほど飢えてんのかな、あいつら」
「ああ、万年日照ってるからな。顔ににじみでてるんだよ、下心が」

 ですよねですよね! 心の中であいづちを打つだけ。何だか口を開いた瞬間に彼女さんに睨み殺されそうだから。

「ま、気をつけなされ」
「はい、ホントにありがとうございました」

 ギプスのついた右手を軽く上げて立ち去る両手骨折さん。並んで歩いていく彼女さん。

 ドキドキしてる、胸が。
 カッコイイ、すごい!

 この気持ちが冷めないうちに、早足で家に帰った。
 玄関に入ってすぐに背中の半分ほどある髪……ウイッグを取り外し、靴箱の鏡に自分の全身を映す。
 そこにいるのは普段の自分。
 短めの髪。お世辞でもカッコイイとは言えない幼い顔。細い体、身長も150センチほど。
 でも中学生女子ではない。
 今年から高校生になったし、これでも一応男子。まだ声変わりもしてないけど。
 趣味が女装なだけで、それが異常であることも承知している。

 鏡に映る自分と、先ほど助けてくれた両手骨折さん……比べるのは申し訳ないほど対照的だった。

 あんな、カッコイイ人になりたい……。

 なんて思っても、地味な色ではあってもヒラヒラなチュニックに膝下丈のジーンズ、ウイッグで髪を長くしてる、趣味が女装な自分。
 根本から間違ってる!!



 女装に目覚めてしまったのは中学生の頃。
 かわいいという理由で先輩(女子)に捕まり、女の子の格好をさせられたのが原因。
 文化祭でも誰も僕とは気付かず、街中でも男だなんて誰も気付かなかった。
 その先輩が卒業したあとも、僕は単身、女装を続けた。
 今日のように声を掛けられることもあるけど、だいたいうまく逃げてきた。

 さすがに今日のはまずいとは思ったけど、だからこそあの人に出会えたんだ。

 両手骨折さん――男子高校生からは『アオイ』、彼女さんからは『マナカ』と呼ばれていた。

 ……マナカ、アオイさん?

 カッコイイ、カッコイイ、すごいカッコイイ!!

 どんどん大きくなっていく、憧れ。

 僕も、マナカさんみたいに……鏡は見ちゃだめ。
 ――絶対無理!

 早く、かっこよく成長しろよ、自分。




 僕は杉崎真(すぎさき まこと)。
 これでも男子で高校一年生。




 次の日の朝、普段通り制服を着て、登校。もちろん男子用の制服、俗に言う学ラン。成長すると見込んで買ったサイズ故に、それなりに大きく、指先しか出てないし、何より動きにくい。
 クラスの誰かがそんな僕を『学ランおばけ』なんて言ってた。
 体操服着てたら体操服おばけ、ジャージならジャージおばけ。どうでもいいんだけどね。

 そういえば昨日の人たち、同じ学校だったので、今日はいつもより回りを見て登校した。
 三人組男子らしき人はちらっと見たような気がするけど、マナカさんと彼女さんは見つけられなかった。
 いや、だいたいマナカさんは同じ学校かさえ定かじゃない。ジャージ姿だったし。あの三人を知ってそうだったけど、中学の同級生かもしれない。
 なんて考えてると、女子集団から、

「やーん、やっぱりカワイイ」
「抱きしめてみたいよね」

 なんて聞こえてきたのでついついそちらを向く。
 先輩だ。僕と目が合うと笑顔で手を振ってきた。
 まぁ、日常茶飯事。
 僕は軽く頭を下げて、進行方向に向き直る。
 今度は後ろからダダダっと足音が聞こえてきて、バシッと背中を叩かれる。

「今日も小さくてかわいいな、杉ちゃん」
「お、おはようございます」

 男の先輩だ。こうやってよく声を掛けてくれるけど、名前も学年も知らない。
 でも、杉ちゃんはやめてほしい。僕はワイルドじゃないから。

「今日も頑張れよ!」
「はい」

 何を頑張ればいいか分からないけど、男の先輩はさっさと走り去る。

 ……うん、いつもと変わらず、こんな平日の朝。




 お昼は女子みたいな小さめのお弁当の昼食。おかずは前日の夕食だけど、毎朝自分で作ってる。
 午後の授業は眠気との戦い。
 ハッと気付けば放課後だった。

「うわぁ!!!」

 ぼんやりしてたのか、寝てたのか分からないけど、気付いたら目の前にクラスの女子がいてびっくりした。

「あ、起きた起きた」
「な、なんですか!?」

 驚きすぎて心拍数が無駄に高い。

「うん、6限の途中から全然動かないから、大丈夫かなって思って。大丈夫みたいだね。もう学校終わったよ」
「あ、そうでしたか。すみません、ありがとうございます」

 クラスの子は頷くと、僕の席から離れ、自分の机の通学バッグを肩に掛けた。

「じゃ、気をつけて帰ってね、杉崎くん」
「はい」

 彼女は教室を出ていく。室内を見渡せば、もう誰もいないし電気も切られてる。
 時計を確認したら、もう部活を開始してる頃。
 僕はどこにも所属してないけど、授業が終わればさっさと帰る方なので、この時間に学校にいることはない。
 でもまぁ、部活をちょっと見て帰るのもいいかな。帰ったって、することは決まってる。
 通学バックに教科書を詰めて、重さでとても肩に掛けて帰れないからバックをリュックのように背負い、教室を出た。

 生徒玄関で靴を履きかえる。これまた体相応のサイズ、23センチ。同級生男子の靴って、もうお父さんのと同じぐらいなのに。
 ……うん、別にどうでもいいこと考えてた。

 外に出るとグラウンドから聞こえる野球部がボールを打つ気持ちのいい金属音と、掛け声が通る。
 そうか、高校野球は甲子園、青春の夏なのか、なるほど。何だか他人事。
 学校指定の体操服でランニングしてる人もいる。何部に所属しているかは分からない。
 体育館からは床をボールが叩く音……バスケ部が使っているのだろう。
 特別棟からは管楽器の音。
 いつもはすぐに帰るから、知らなかった音と雰囲気。新鮮な気持ちで胸がいっぱいになってるとき、心臓が跳ねた。

 白の半袖体操服、紺色のハーフパンツ、両手のギプス、長身の男前。

 ――!!? あわわわ、マナカさん!!

 何部に所属か分からないけど、ランニングしてらした。ってことは同じ学校だったってこと!?
 思わず肩をすくめてそっぽを向き、通り過ぎるのを待つ。
 ……ばれるわけない、ばれるわけない。はず。
 何も言われることなく走り去ったので一安心、かと思ったら、

「やっぱ手に響くから帰る。っつーか、見ちゃったよ、小さい一年生!」

 ヤバい! 僕のことだ!

 運動は得意ではないが走って帰って、帰宅した頃にはへろへろになってた。
 家、学校から300メートルぐらいなのに……運動不足かな。

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椿瀬誠
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非公開
職業:
創作屋(リハビリ中)
趣味:
駄文、らくがき、ゲーム
自己紹介:
元々はヘンタイ一次創作野郎です。
絵とか文章とか書きます。
二次もどっぷりはまってしまったときにはやらかします。
なので、(自称)ハイブリッド創作野郎なのです。
しかし近年、スマホMMOにドップリしてしまって創作意欲が湧きません。
ゲームなんかやめてしまえ!

X(ついった)にはよくいますが、ゲーム専用垢になってしまいました。
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